「あ」の話
中国語にもある「あ」
言うまでもなく、日本語と中国語は異なる言葉、同じ漢字を使っていても音の体系がまるで違うのですが、中国語にも「あ」に近いものはあります。
音を表すローマ字も日本語と同じ「a」で、日本語と同じ発音でもまあ何とかなります。
しかし、しばらく使っているとどうも自分の中国語がいわゆる「カタカナ中国語」になっているのが気になってしまいます。自分なりに気をつけていてもどうしても中国人の「a」にならない。
教科書的なことについてはちょいと検索するといろいろ出てくるので省略しますが、体感としては口の奥の方まで大きく開けると中国人の「a」に近い声が出せるような気がします。
一字の違いで大違い
ところで、中国語の「a」(“啊”)は語尾についていろいろな語気を表す言葉(詳細は各専門のページを参照してください)なのですが、そのうちの一つに、聞き返すという用法があります。日本語でいう「え?」に相当するあれです。
僕の中国語が伝わらない時、相手は「啊?」と返してきます。「あ?」と返すのが普通なわけです。加えて、中国では会話の際に日本より声が大きいことがままあるため、結構な頻度で「あ?」と言われることがあります。
もちろん授業では、日本人に「あ?」と聞き返すと相手を尊重していないという意志が伝わるので、学生にこれをやらないように注意しています。会話のテストで何か聞き返すために「あ?」と返したら減点するという方式にしています。
中国で日本語を教えるようになってはや数年、今でも学生や地元の人に自然に「あ?」と言われると、頭ではわかっていてもすこし焦ってしまいます。母語の癖は簡単に抜けません。