二つの死刑判決を見て
先日のニュースで見た人も多いかと思いますが、中国では2日続きで、日本人が襲撃された事件の死刑判決が出ました。
一つは去年の6月24日、蘇州の日本人学校でスクールバスを待っていた母子が突然襲われた事件。母子は無事だったものの、乗務員の中国人女性が亡くなってしまった事件。亡くなったのは胡友平という54歳の女性で、犯人が二人に襲いかかった時にを身を挺して止めに入ったところを刺されてしまったとのこと。
もう一つは9月18日、深圳の日本人学校に通う男児が刺されて亡くなってしまった事件。母親と一緒に登校していた10歳の小学生がいきなり犯人に刺されて亡くなってしまいました。
2つの事件の犯人は男性で、蘇州が52歳で固定職に付いておらず、深圳が44歳で前科のある無職ということで、どちらも安定した生活とは無縁だったのでしょう。
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今回の事件は日中両国で大きな話題になり、日本では中国の反日感情と結びつける意見が多数のようでした。確かに中国のネットでも反日感情を煽るサイトはあるし、犯人がそうしたものに影響された可能性はあります。しかし、原因をいわゆる「反日感情」だけに求めるのは適切ではないように見えます。
それよりも、日本でも最近見られる、社会的に失うものがなくなり自暴自棄になった人が犯罪を起こすことの方が大きな問題だと思います。ここ数年、中国でもこうしたのニュースは多く、無差別に街中でいきなり切りつける、車で歩行者がいるところに突っ込むといった犯罪が増えているようです。
中国では犯人の供述内容が公開されることが少ないのでわからない点も多いのですが、経済発展が減速して生活が悪化した人が増えていることも原因のように思えます。首になる仕事もなければ、捕まった時に迷惑がかかる身内もおらず、生活が良くなる可能性が皆無。全てを諦めてしまった時、腹いせに凶行を考えるというのはどこも変わらないのかも知れません。
二人の犯人は自分より裕福に見え、かつ攻撃しやすい対象として、日本人学校の母子を狙ったのでしょう。日本人とはいえ、もし自分たちより裕福に見えなかったのなら他の人がターゲットになったのではないでしょうか。
最近、学生からは就職活動が簡単ではない、就職できたとしても経済状況は良くないので安心できないという話をよく聞きます。もしかしたら今の中国は90年代後半~00年代前半の日本に似た状況なのかも知れません。みんな普通に過ごせる世の中になってほしいものですが。