2020年2月、日本→中国移動の記録④
窮余の一策「ネット授業」
とどまるところを知らないコロナウイルスとそれに対する徹底した防御策により、中国の多くの人は身動きが取れなくなってしまいました。中国のニュースもコロナ一色、中には悲惨な亡くなり方をした例も多く、読んでいて辛くなるような話も多くありました。
一方学校は通常ならば20年2月10日に学期が始まる予定でしたが、到底現地で授業ができる状況ではなく、暫定的にネット授業をすることになりました。
一年たった今でこそ当たり前のように始まった感のあるネット授業ですが、当時は見切り発車でいろいろやってみるしかなかったことがわかります。
では、いってみましょう。
突然の変更
帰国すべきかどうか悩んでいた昨年2月上旬のこと、学校から正式に「新学期のスタートは最速で3月2日にする」との通知が出され、2月中は学校で授業が行われないことが確定しました。
この時点で最短3週間の延期。仮にそのまま全て後ろ倒しにすると(中国は9月に新年度が始まるので)卒業や入学にも大きな影響が出ます。だからといって授業回数を減らすわけにも行きません。教える側としても、その3週間をどう過ごせばいいのかがわかりませんでした。
そこで出てきた案がネットを使った授業。中国は日常生活でも日本以上にネットをよく使っており、公共サービスにもかなり食い込んでいるので、こうしたことに抵抗がないのかも知れません。その日のうちに再度通知があり、授業は予定通り2月10日から開始し、学生が学校に戻るまでの3週間はネットで授業を行うよう指示が出ました。いきなり何を言い出すんだろうと思いましたが、こうなったらやるしかありません。即日開始となりました。
初めてのネット授業
こうして学生が学校に戻るまでのつなぎとしてネット授業が始まったのですが、初めてのことなので、先生も学生も苦戦しているようでした。上記通知で指定された学習用アプリがアクセス殺到などの理由により繋がらず、結局普段から使っているSNSで授業をしたなんて話も聞いています。
僕のいる学校では、外国人教師にはそのアプリの使用までは求められず(恐らく外国人が使うことまで考えてない)、結局SNSを通じて学生に課題を出し、提出されたものの添削するという方法をメインにしました。
日本からネット授業をやりましたが、これはやりにくかったです。教科書を持ってきた科目、日本で参考資料を買い足した科目はまだ良いのですが、中国に戻ってから準備するつもりだった科目についてはできることがかなり限られてしまい、かなり苦しいものがありました。個人的には、スマホでパワポを作るのは今後二度とやらないで済むようにしたいです。
このネット授業、教師の立場からすると、経験がないというのはもちろんですが、準備が大変なのではと思います。人によって多少の違いはあるでしょうけど、この冬休みはあくまでも春節を過ごすために実家に帰っている人がほとんどで、授業をするツールがない先生も少なくないはずです。学生もネットの講義を受けた経験はあるかも知れませんが、今回の状態に慣れているはずもなく、やはり苦戦しているのではないでしょうか。
できればこの形式に慣れる前に元の状態に戻ってほしいのですが、そんな簡単じゃないんだろうなあ。